「レントゲンでは特に異常なしと言われたのに痛い」
「朝起きた瞬間から腰が重い」
「座っていても立っていても、なんだかつらい」
「湿布やストレッチをしても、その場しのぎでぶり返す」
「痛みが気になって動けず、気づけば体力も落ちてきた気がする」
慢性腰痛(3か月以上続く腰の痛み)は、とてもよくある悩みです。世界的にも腰痛は“障害(生活のしづらさ)”の大きな原因のひとつとされ、影響を受ける人が非常に多いことが報告されています。
そして近年、慢性腰痛を理解するうえで欠かせないキーワードが 「痛覚変調性疼痛(つうかくへんちょうせいとうつう)」(英語で nociplastic pain:ノシプラスティック・ペイン)です。
これは簡単にいうと、痛みの“センサー(神経)~処理装置(脳・脊髄)”の働きが敏感になり、痛みが増幅されやすくなる状態を含む考え方です。
ここでは**慢性腰痛(3か月以上続く腰痛)**を例に、近年注目されている **痛覚変調性疼痛(ノシプラスティック・ペイン)**という考え方を、できるだけやさしい言葉でまとめます。
「自分の腰痛はどうしてこんなにしつこいんだろう…」という不安が、少しでも軽くなれば幸いです。
1. まず前提:腰痛は「原因が1つ」とは限りません
腰痛には、骨折・感染・腫瘍など、急いで医療機関での対応が必要なケースも一部あります。
ただ慢性腰痛には はっきりした“単一の病気”だけでは説明しにくいタイプが多い、とされています。
また、画像(レントゲンやMRI)の所見と症状が一致しないことがあるため、画像を撮れば原因が100%わかる」とは言い切れないのが現実です。
それもあって、慢性腰痛のつらは、周りに伝わりにくいと言えます。
見た目ではわからないし、頑張れてしまう日もあるから、「大したことないのかな」と思われたり、自分でも思ってしまったり。
でも、慢性腰痛の多くは世界的にも大きな問題として扱われています。
そして近年、慢性腰痛の理解で大切になっているのが、「腰の組織だけ」ではなく、「痛みを感じ取る仕組み」そのものが敏感になっていることがあるという視点です。
2. 痛みには大きく3つの「仕組み」があります
痛みは、国際疼痛学会の整理で、大きく次の3タイプの仕組みに分けて考えると理解しやすくなります。
(1)侵害受容性疼痛(組織のダメージや炎症が中心)
捻挫、打撲、ぎっくり腰直後、炎症が強い状態など、組織に負担がかかって痛むタイプ。
(2)神経障害性疼痛(神経そのものの障害が中心)
坐骨神経痛の一部など、神経の病変・障害が関与するタイプ。
(3)痛覚変調性疼痛(nociplastic pain)
明確な組織損傷や神経障害だけでは説明しきれないのに、痛みが続くタイプ。
人によっては(1)(2)(3)が混ざります。
「あなたの痛みはこれだけ」と単純化できないことも多いのです。
3. 慢性腰痛で「痛覚変調」が起きると、何が起こる?
たとえば、腰に軽い負担(座りっぱなし、家事、長時間運転など)が続いたときに、
- 痛みを警告するシステムが過敏になる
- “危険”の判定が厳しくなる(本当は安全な動きでも危険扱いしやすい)
- 痛みのボリュームつまみが上がりやすい
…といったことが起きるイメージです(あくまで比喩です)。
この背景としてよく語られるのが **中枢性感作(central sensitization)**です。
国際疼痛学会の定義では「中枢(脳・脊髄)の侵害受容ニューロンが、通常または弱い入力に対しても反応しやすくなる状態」と説明されています。
4. 痛覚変調性疼痛が関わっていそうな“サイン”チェック
医療機関での検査ではなく、あくまで「傾向」としての目安ですが、慢性腰痛で次のような特徴が重なると、痛覚変調の要素が関わる可能性が考えられます。
痛みの出方
- 痛む範囲が広い/日によって場所が変わる
- きっかけが軽い(少し動いただけ、触れただけでもつらい)
- 「ズキッ」よりも「じわじわ・重い・焼けるような」など表現が多彩
体の状態(腰以外も含む)
- 寝ても疲れが取れにくい、眠りが浅い
- 体がこわばりやすい
- 仕事や家事の集中が続きにくい、気分が落ち込みやすい
行動の変化
- 痛みが怖くて動く量が減った(その結果、余計に不安が増える)
- 逆に「頑張って動く→悪化→また休む」を繰り返す
このような要素は、慢性腰痛が“腰だけ”では説明しにくいサインになりえます。
5. なぜ「敏感な痛み」になってしまうの?(よくある“悪循環”)
慢性腰痛では、次のような悪循環が起こりやすいです。
- 腰が痛い(きっかけは些細でもOK)
- 動くのが怖い/不安が強まる
- 動かない → 筋力・持久力・柔軟性が落ちる
- ちょっとした負担で痛みが出やすくなる
- 睡眠の質が落ちる/ストレスが増える
- 体の回復力が下がり、さらに痛みのボリュームが上がる
ここでポイントは、「痛み=気のせい」ではないこと。
“敏感になった痛み”も、本人にとってはまぎれもなく現実の痛みです。
だからこそ、やり方を変えて“回復のループ”を作り直すことが大切になります。
6. 慢性腰痛に対して、いま世界で勧められやすい方向性
WHOは慢性腰痛(慢性一次性腰痛)に対し、地域・一次ケアで提供できる非手術的介入として、
**教育(セルフケアを支える知識)、運動、いくつかの徒手的ケア(脊椎マニピュレーションやマッサージ等)、心理的アプローチ(CBTなど)、一部の薬(NSAIDsなど)**
を挙げています。
またNICE(英国のガイドライン)でも、自己管理のための情報提供や、
可能な範囲で日常活動を続けること、運動プログラム等が推奨の柱として示されています。
つまり、慢性腰痛では
「痛いところを押す/伸ばすだけ」よりも、
理解・運動・生活の立て直しを組み合わせる方向が重視されやすい、
ということです。
7. 当院でできるサポートの考え方(当院のような場の役割)
慢性腰痛、とくに痛覚変調の要素がある場合は、**「強い刺激で一発でどうにかする」**よりも、
- 体の状態を丁寧に整理する(どんな動きで増える?どこが緊張?呼吸は?睡眠は?)
- “怖くない動き”を増やす(再学習)
- 生活の中で続く形に落とし込む(姿勢、体の使い方)
こうした積み上げが合うことが多いです。WHOのガイドラインでも、教育・運動・心理的アプローチ、必要に応じた身体的ケアを組み合わせる考え方が示されています。
当院のような整体院では、医療的な診断はできませんが、
姿勢・動き・筋肉の緊張・呼吸・日常動作の面から、
無理のないセルフケアと体の使い方づくりをサポートすることは可能です。
8. こんなときは医療機関へ(早めが安心)
慢性腰痛でも、次のような症状がある場合は、痛覚変調性疼痛だけで説明せず、医療機関での評価がすすめられます。
- 発熱、強いだるさ
- 安静にしていてもどんどん悪化する強い痛み
- 体重減少が続く
- がんの既往がある
- 足の筋力低下が進む/しびれが急に強まる
- 排尿・排便のトラブル(我慢できない、出にくい等)
まとめ:慢性腰痛は「腰」だけを責めないほうが、うまくいくことが多い
- 痛みには、侵害受容性/神経障害性/痛覚変調性の考え方がある
- 慢性腰痛では、画像だけで説明しにくいこともあり、自己管理・運動・教育が重視されやすい
- “敏感になった痛み”は現実の痛み。だからこそ、刺激を増やすより「波を小さくする」「動きを再学習する」が近道になりやすい
- 歩行などの生活活動を少しずつ増やす工夫は、再発予防や土台づくりとして有望なデータもある
- 危険なサインがある場合は早めに医療機関へ
当院では、
筋肉を緩め、関節を動かしやすくし、体幹・インナーマッスルを活性化しながら、
「姿勢」と「体の使い方」まで一緒に整えていくことで、慢性的な肩こり・腰痛の根本的な改善を目指していきます。
初めての方には、丁寧なカウンセリングと姿勢チェックを行い、
体の状態や今後の進め方を、模型や図を使いながらわかりやすくお伝えします。
「もう良くならないのでは」と諦めかけている方こそ、
一緒に、痛みに左右されない体を目指していきませんか。
町田市・相模原市で、慢性的な腰痛でお悩みの方は、
どうぞお気軽に、当院までご相談ください。
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